鏡の映り方・反射のトラブルを解決/鏡の構造・仕組み

鏡の構造・仕組み/映り方・反射の3つのトラブルを解決

鏡の構造・反射の仕組み

このページでは、当社によくいただく鏡の映り方のご相談 3つについての解決策をまとめています。

この記事で分かること
  • 鏡の映りが少し青みがかったように見える理由・対策
  • 鏡に二重に映るように見える理由・対策
  • 鏡の黒の斑点の理由・対策

鏡の素材:鏡はガラスと銀から作られている

鏡の構造・反射の仕組み - 鏡の素材・原料

鏡は、透明なガラスに薄い銀を塗って作られています。ガラスの片面に銀を吹き付け、さらにその上から銅膜や特殊膜を塗り、鏡が製造されます。銅の膜や特殊膜は、銀の膜を湿気などから保護する役割を果たします。

このとき、鏡のオモテはガラス側になります。ガラスに光が透過し、ガラスの奥にある銀が反射することで像を映しています。

なぜ、鏡のオモテ側にガラス素材を使用する仕組みなのか?

鏡のオモテ側にガラスを使用するのは、「鏡反射をつくる」「銀膜を守る」という理由があります。

光が反射する現象には、光が一方向に反射する「鏡反射」と様々な方向に跳ね返る「乱反射」があり、通常の鏡は鏡反射をするもののことを指します。そして、鏡反射をするには物体の表面が十分に平滑であることが必要です。鏡の面にガラスを用いることで、鏡反射に必要な平滑な面をつくりやすくなっています。

また、オモテ側にしたガラスは銀膜を守る役割も果たします。銀膜がオモテ側にあると、銀が空気に触れてすぐに錆びてしまったり、掃除などで銀膜が剥がれたりしてしまいます。昔の鏡はガラスを使わず金属の板を磨いて作られていましたが、「錆びやすい/傷みやすい」という弱点がありました。

ゆがみが少なく平滑性に優れたガラスを用いることで、鏡反射をつくりやすく錆びずに長く使える鏡になっているのです。

① 鏡に映る色が青みがかる理由・対策

鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 ありのままの色を映すわけではない

先程の説明のように、一般的な鏡の構造は裏面(ガラスの奥)に銀の反射膜があります。そのため、光は一度ガラスを通って銀に反射しています。

一般的な鏡(※厚み5ミリの場合)に使われるガラスの可視光透過率は89.5%です。透明に見えるガラスでも、入射した全ての光を通すわけではありません。また、実際に像を映す銀面の反射率も約93%となっており、全ての光は反射できません。

また、ガラスは完全に透明なわけではなく、若干の緑色が含まれています。そのため鏡には緑色(青み)を足したような色が映し出されています。

本当の色と鏡に映し出される色は異なっており、普通の鏡はありのままの色を映しているわけではありません

青みがからない鏡は「高透過ミラー」

鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 高透過ミラー

ガラスの青みに影響を受けない「高透過ミラー(高精彩ミラー)」という鏡があります。高透過ミラー(高精彩ミラー)は、ガラス特有の青みを抜いた透過率の高いガラスを使った鏡。ガラスの色の影響を受けずに像を反射するため、色を忠実に映し出すことができます。

「メイクの色を忠実に映すことができる」「パーソナルカラー診断でお客様と一緒に肌の色を確認できる」と、ファッション美容関係でよく使われるガラスです。

② 鏡に二重に映って見える原因・対策

オモテ側にガラスがあることで、鏡に映る像が二重に見えることもあります。

鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 なぜ像が二重に見えるのか

鏡に物を近付けると、物がぼんやりと二重に映って見えたことはありませんか? 

これは使っている鏡に欠陥があるのではなく、鏡の構造が原因で起きる現象。普通の鏡を使っていれば、一般的に見られます。

先程も説明したように、一般的な鏡はガラスがオモテ側で、像を反射する銀はガラスの奥にあります。

鏡に映る物が二重に見えるのは、光が「銀」と「ガラス」の両方に反射しているため。銀の反射率は約93%、一方で普通ガラスの反射率も約8%あります。銀は光をほぼ反射し、ガラスも反射率は小さいですが確実に光を反射しています。

鏡で物が二重に映って見えるとき、はっきりと映っている方がガラスの奥の銀に反射した像で、薄くぼんやりと映っている方がオモテのガラスに映っている像です。

二重に映らない鏡は「表面反射鏡」

鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 二重に映らない特殊な鏡
鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 表面反射鏡

全ての鏡がこのように二重に見えるわけではなく、二重に映らない特殊な鏡もあります

それが、「表面反射鏡」です。 表面反射鏡は、鏡のオモテ面に鏡面加工をしたもの。光がガラスを通らず、そのまま銀膜だけに反射します。ガラスに影響を受けず映像を反射するため、物が二重に見えることもありません。

鏡の構造・反射の仕組み - 反射の原理 通常の鏡と表面反射鏡の比較

もちろん、ガラス特有の緑色(青み)を足したような色に見えることもありません。上の写真では、通常の鏡と表面反射鏡で白い紙を反射させています。通常の鏡は映り込んだ映像がやや青みがかって見えますが、表面反射鏡は青みがなく、実際に近い色で映し出すことができています。

「映り込む像が二重にならない」「正確な色味で映すことができる」という特徴を活かし、万華鏡の製作や、一眼レフカメラの反射鏡、撮影用具の製作などに使われています。

③ 鏡の黒の斑点は腐食・その対策

鏡の構造は、他にも様々な現象に影響を与えています。

例えば、「鏡にできる黒い斑点」です。浴室や洗面所などの水回りで鏡を使っていると、鏡に黒い染みや斑点ができることがあります。

鏡の構造・反射の仕組み - 腐食が原因の黒い斑点

このような浴室・洗面所鏡の黒い染みは、鏡に塗っている銀膜の腐食(サビ)にあります。

腐食(サビ)は、浴室や洗面所など、水や湿気で濡れやすく温度変化が大きい場所で起きやすい現象です。 通常は銅膜や塗料の特殊膜がコーティングとなって銀膜を保護していますが、鏡を長く使い続けるとコーティングが劣化し、銀膜が水に触れて腐食が進行します。

錆びにくいコーティングがされた「防湿ミラー」

鏡の構造・反射の仕組み - 銀をコーティングした錆びにくい鏡

使用環境によっては、通常の鏡だと2~3ヶ月で腐食することもあります。

このような鏡の腐食・サビの進行を抑える鏡もあります。浴室・洗面所用鏡の「防湿ミラー」は、鏡の銀部分に防湿用のコーティングをした鏡。銀部分が濡れないようにすることで、普通の鏡よりも腐食しにくい鏡になっています。

鏡の映り方・反射のトラブル別/オススメの鏡

今回取り扱った鏡の映り方、反射の仕方のトラブルに適した鏡がこちらの3商品です。

青みがかった色が気になる
青みがからない鏡は「高透過ミラー」
二重に見えるのが気になる
二重に映らない鏡は「表面反射鏡」
錆びるのが気になる
  錆びにくいコーティングがされた「防湿ミラー」